空家の火災保険、加入・継続の必要性は?

空き家の火災保険は必要?加入・継続時の確認ポイント

 

相続した実家などが空き家になったとき、まず確認したいのが、現在の火災保険をそのまま継続できるかどうかです。空き家の引受可否や補償内容は、建物の用途や利用実態、管理状況などによって異なり、すべての空き家が同じ扱いになるわけではありません。

 

居住中に契約した火災保険が残っている場合は、空き家になったことを契約先へ伝え、契約を継続できるか、契約条件の変更が必要かを確認します。この記事では、空き家で火災保険を検討するときに確認したいポイントと、地震保険や第三者への損害に備える補償について整理します。

 

※2026年 9月15日 更新

 

空き家で火災保険を検討するときに考えたい主なリスク

空き家では、火災や風災などで建物が損傷しても、居住中の住宅に比べて発見が遅れることがあります。火災保険に加入するかどうかは、建物の状態、今後の利用予定、売却・解体までの期間、損害が発生した場合に自己負担できる範囲などを踏まえて判断します。まずは、空き家を所有している間にどのような損害が考えられるか整理しておきましょう。

 

【危険1】放火や自然災害のリスク

空き家を所有している間も、火災や自然災害によって建物が損傷する可能性があります。総務省消防庁の令和7年版消防白書によると、2024年(令和6年)の全国の火災37,141件のうち、放火は2,377件、放火の疑いを含めると3,904件でした。ただし、これは空き家だけを対象にした統計ではありません。

 

空き家では日常的に人がいないため、異変への対応が遅れることも考えられます。火災保険だけでなく、定期的な見回りや建物周辺の整理など、日常の管理も併せて考えることが大切です。

2024年 全国の火災と放火

また、台風で屋根が飛ばされたり、大雪で建物が倒壊したりといった自然災害が発生しても、人が住んでいないため被害の発見が遅れがちです。発見が遅れると被害が拡大し、修繕費用も高額になります。火災保険に加入していない場合、補償の対象となる損害についても修繕や撤去などの費用を自己負担することになります。

【危険2】第三者への損害賠償責任が生じる場合がある

空き家の外壁材や屋根材などが落下し、通行人や隣家の車などに損害を与えた場合は、建物の設置・保存の状態によって、民法717条の工作物責任が問題になることがあります。また、火災が隣家へ延焼した場合は、失火責任法なども含め、事故の状況によって損害賠償責任の有無が判断されます。

 

火災保険で第三者への賠償責任まで補償できるか、利用できる特約があるかは契約内容によって異なります。空き家を所有している場合は、建物自体の補償だけでなく、第三者への損害に備える補償が必要かについても保険会社や代理店へ確認しておくと安心です。

 

【危険3】資産価値の喪失と高額な後片付け費用

火災や自然災害で建物が損壊した場合、建物という資産そのものの価値が大きく失われます。例えば、全焼や半壊といった甚大な被害を受けた場合、再建するにしても、更地にして売却するにしても、まずは焼け跡や瓦礫の撤去・処分が必須です。この後片付けにかかる費用は、建物の規模や構造、損壊状況にもよりますが、数百万円単位の高額な費用となることも珍しくありません。

 

火災保険に加入していれば、プランによっては「残存物取片付け費用保険金」としてこれらの費用が補償される場合があります。しかし、火災保険に未加入の場合は、この費用もすべて自己負担となります。せっかくの資産を失った上に、さらに金銭的な負担がのしかかるという、二重の打撃を受けることになってしまうのです。補償内容によっては残存物の片付け費用などが対象になる場合もあるため、火災保険を検討するときは建物の損害だけでなく、事故後に必要となる費用についても確認しておきましょう。

 

空き家になったら、まず現在の火災保険を確認

居住していた住宅が空き家になった場合、それまでの火災保険を同じ条件で継続できるとは限りません。火災保険では建物の構造や用法などが契約条件に関係するため、居住状況が変わったときは契約先へ連絡し、現在の契約を継続できるか確認します。

 

空き家の引受可否や契約条件は、保険会社・商品によって異なります。また、同じ「空き家」であっても、完全に使用していない建物と、別荘やセカンドハウスなどとして利用している建物では扱いが異なることがあります。

 

「空き家になれば必ず一般物件になる」と判断するのではなく、現在の利用状況、今後の居住予定、家財の有無、建物の管理状況などを保険会社や代理店へ伝え、引受可否と契約条件を確認してください。

 

空き家は「一般物件」扱いになり保険料が割高に

火災保険を扱う保険会社では、建物の利用状況に応じて物件を「住宅物件」と「一般物件」に分類しています。日常的に人が居住している建物は「住宅物件」として扱われますが、住んでいる人がおらず、家財道具なども撤去されている状態の空き家は、原則として「一般物件」に分類されます。

 

この「一般物件」は、住宅物件に比べて火災の発見が遅れる可能性が高いこと、人の目がないことで放火や不法侵入などのリスクが高まると判断されます。そのため、保険料が住宅物件よりも割高に設定されることが一般的です。保険会社によっては、空き家の状態がより深刻な場合、「事業用物件」として扱われることもあります。この物件区分の違いこそが、空き家の火災保険料が高くなる根本的な理由なのです。

空き家火災保険の確認フロー

相続や転居で空き家になったら契約先へ連絡する

親から実家を相続した場合や、転居・施設への入居などによって建物が空き家になった場合は、現在加入している火災保険の契約先へ連絡し、契約を継続できるか確認します。

 

日本損害保険協会では、火災保険の通知事項として「建物の構造・用法の変更」を挙げています。契約によって必要となる手続きは異なるため、名義変更だけで済ませず、現在の建物の利用状況や今後の予定を伝え、契約条件の変更や新しい契約が必要か確認してください。

 

空き家の火災保険を確認するときの4ステップ

空き家の火災保険では、最初から特定の商品を選ぶのではなく、現在の建物の使い方と契約状況を整理することから始めます。次の順番で確認すると、保険会社や代理店にも相談しやすくなります。

ステップ1:空き家の状態を確認する

まず、現在の建物の利用実態を整理します。現在居住している人がいるか、今後住む予定があるか、別荘・セカンドハウスとして利用しているか、家財が置かれているか、どの程度管理しているかなどを確認してください。

 

あわせて、建物の築年数や構造、現在の状態なども整理しておくと、保険会社へ引受可否や見積もりを確認しやすくなります。「月に何回利用すれば住宅扱い」といった一律の基準で判断せず、実際の利用状況を保険会社や代理店へ伝えて確認することが大切です。

空き家のチェック

ステップ2:必要な補償内容を確認する

火災保険では、火災だけでなく、風災・雹災・雪災・水災などを補償対象にできる商品があります。ただし、どの損害を補償するかは契約内容によって異なります。建物の立地や状態を踏まえ、どのような損害に備えたいのかを整理しましょう。

 

また、建物の一部が落下するなどして第三者へ損害を与えた場合に備え、賠償責任を補償する特約などを利用できるかも確認します。補償の名称や対象となる事故は保険商品によって異なるため、必要な補償内容を伝えて保険会社や代理店へ確認してください。

 

保険金額は、保険会社による建物の評価などを踏まえて適切に設定します。売却や解体の予定がある場合は、予定している保有期間も伝えたうえで、利用できる契約期間や補償内容を確認しましょう。

 

ステップ3:地震保険の対象になる建物か確認する

地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯して契約します。対象となるのは、居住のために使用する建物と生活用の家財です。財務省の資料では、空き家や別荘についても「常時、居住のために使用する状態」であれば地震保険の対象になるとされています。

 

そのため、「空き家だから加入できない」「一般物件だから加入できない」と一律に判断するのではなく、その建物が地震保険の対象になるかを保険会社や代理店へ確認してください。

 

ステップ4:必要に応じて複数の商品を比較する

現在の契約を継続できない場合や、補償内容を見直したい場合は、必要に応じて複数の保険会社や商品を比較します。比較するときは、保険料だけではなく、引受条件、補償範囲、免責金額、利用できる特約、保険期間などを確認してください。

 

同じ建物情報と利用状況を各社へ伝えると、条件の違いを比較しやすくなります。財務省は、地震保険の対象を居住用建物・家財とし、火災保険への付帯を前提としています。2026年の資料では、空き家・別荘も常時居住用として使用する状態なら対象と明記されています

火災保険の相見積もりを検討している男性

空き家で加入できる火災保険の種類とおすすめの保険会社

空き家で加入できる火災保険は、建物の利用状況や管理状態、築年数、構造などによって異なります。住宅として使われていた建物でも、空き家になった後に同じ商品・同じ条件で契約できるとは限りません。

 

また、保険会社によって商品名や建物の区分、引受条件が異なるため、「空き家ならこの種類の保険」「この保険会社がおすすめ」と一律に決めることはできません。まずは現在の利用状況を正確に伝え、その建物を引き受けてもらえるか確認してください。

 

複数の商品を比較する場合は、同じ建物情報を伝えたうえで、保険料だけでなく、補償範囲、免責金額、利用できる特約、保険期間などの条件を比べます。今後住む予定があるのか、売却や解体を予定しているのかによって必要な保険期間や補償も変わります。空き家を今後どうするかも含めて伝えると、必要な補償を整理しやすくなります。

 

※空き家を保有し続ける場合の管理負担と、売却する場合を比較したい方は、「東近江市の不動産売却・無料査定」からご相談ください。

 

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