空家の税金が数倍に?最新の空家法を解説

3_空家の税金が数倍に?最新の空家法を解説

 

記事更新:2025/09/04

 

2023年に改正され、2024年から順次施行される「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、全国の空き家所有者の方々に大きな影響を与えることが予想されます。特に、適切な管理が行われていないと判断される「管理不全空家」という新しい区分が設けられ、固定資産税の負担が増える可能性があることは、所有者の皆様にとって喫緊の課題です。

 

この記事では、今回の税制改正の要点、空き家を放置し続けることで生じるリスク、そしてそれらを回避し、ご自身の資産を守るための具体的な対策について詳しく解説していきます。

空き家問題の現状と背景

法改正を理解するためには、まず日本の空き家問題がどれほど深刻になっているかを把握しておく必要があります。総務省統計局の「2023年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は約900万戸に達し、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。これは、日本の住宅総数の約7軒に1軒が空き家という計算になります。この膨大な数の空き家が、個人の財産問題にとどまらず、地域社会にとって深刻な課題となっている現状を深く見ていきましょう。

 

税制優遇(住宅用地特例)の影響

空き家が増え続ける大きな要因の一つに、「住宅用地特例」という税制優遇制度があります。これは、住宅が建っている土地の固定資産税が、最大で6分の1に軽減されるという制度です。

 

この特例があるため、老朽化した建物を解体して更地にしてしまうと固定資産税が大幅に上がってしまうため、所有者は「壊すくらいなら、そのままにしておこう」と考えがちでした。結果として、誰も住まなくなった建物がそのまま放置され、空き家が増加する一因となってきた側面があります。しかし、今回の法改正でこの特例が解除されるケースが増え、状況は大きく変わろうとしています。

 

【第一章】空家法(2023改正)に伴う税制上の影響

2023年に改正され、2024年から順次施行されている空家等対策の推進に関する特別措置法は、多くの空き家所有者の方に直接的な影響を与えることになります。今回の法改正の核心ともいえる主要な変更点について詳しくご説明します。

 

 

「管理不全空家」の新しい区分とその影響

2023年の空家等対策の推進に関する特別措置法改正で導入された「管理不全空家」は、空き家を所有されている方にとって特に注意すべき新しい区分です。この制度は、単に「人が住んでいない家」として放置されていた空き家が、将来的に地域社会へ悪影響を及ぼす「特定空家」へと進行するのを未然に防ぐことを目的としています。

 

これまで、行政が空き家に対し是正を求めることができるのは、倒壊の危険があるなど、既に深刻な状態に陥った「特定空家」に指定されてからでした。しかし、「管理不全空家」の区分が新設されたことで、より早い段階で所有者へ管理状況の改善を促し、地域の安全や景観が損なわれるのを防ぐことができるようになったのです。この変更は、所有者に空き家の管理をより一層適切に行うよう促すための重要な一歩と言えます。

 

この新しい区分ができたことで、空き家所有者の方々の税負担が大きく変わる可能性が出てきました。では、「管理不全空家」がどのような状態を指すのか、そして税金にどのような影響があるのか、制度の目的と合わせて詳しく見ていきましょう。

 

管理不全空家の定義と判断基準

「管理不全空家」とは、文字通り「管理が行き届いていない状態の空き家」を指しますが、その判断基準はあいまいではありません。将来的に特定空家となるおそれがあると認められるものが対象となります。

 

具体的には、建物の屋根や外壁の一部が破損しているにもかかわらず修理されずに放置されている状態、窓ガラスが割れたまま塞がれていない状態などが挙げられます。また、敷地内に雑草が膝丈以上に生い茂って隣地にはみ出していたり、ゴミが無秩序に散乱していたりする状態も含まれます。さらに、建具が外れたままになっている、門柱が傾いているといった状態も判断基準になります

 

これらの状態は、単に見た目が悪いだけでなく、台風などで破損した建材が飛散する、不審者が侵入しやすくなる、害虫が発生して近隣に迷惑をかけるなど、将来的に周辺環境に悪影響を与える可能性が高いと判断されます。ご自身の空き家がこれらの状態に当てはまるかどうか、一度客観的に確認してみることが大切です。

 

管理不全空家指定による固定資産税の増額

空き家を所有する方にとって、今回の法改正で最も衝撃が大きいのは、固定資産税の増額の可能性でしょう。「管理不全空家」に指定され、市区町村から「勧告」を受けると、その土地に適用されていた「住宅用地特例」という税制上の優遇措置が解除されてしまうのです。

 

「住宅用地特例」とは、住宅が建っている土地の固定資産税が最大6分の1に、都市計画税が最大3分の1に軽減されるという制度です。これが解除されると、土地の固定資産税は本来の6倍、都市計画税は本来の3倍にまで跳ね上がる可能性があります。例えば、固定資産税が年間5万円だった土地の場合、それが年間30万円になることもあり得るのです。

 

この税制上の措置は、空き家を適切に管理しないことへの実質的な罰則と言えます。これまで「空き家を壊すと税金が高くなるから」と放置されてきた背景がある中で、管理不全の空き家を放置し続ける方が、結果的に税負担が大きくなるという状況に変わったのです。この経済的負担は毎年続くため、決して軽視できるものではありません。

 

特定空家化を未然に防ぐ目的

「管理不全空家」という新しい区分が設けられたのは、単に空き家所有者を罰するためではありません。この制度は、より深刻な状態である「特定空家」への移行を未然に防ぐための予防的な措置として導入されました。

 

「特定空家」とは、倒壊や火災の危険性が高かったり、衛生上有害となるおそれがあったり、著しく景観を損ねていたりするなど、周辺地域に著しい悪影響を及ぼしていると判断された空き家を指します。「特定空家」に指定されると、市区町村は所有者に対して「助言」「指導」「勧告」に加え、「命令」を発することができます。この「命令」に従わない場合、50万円以下の過料が科されるだけでなく、行政が強制的に解体などの措置を行う「行政代執行」が行われ、その費用はすべて所有者に請求されることになります。

 

「管理不全空家」の段階で「勧告」を受け、住宅用地特例が解除されることで、所有者に「このままではいけない」と早期の対応を促し、特定空家への移行を防ぎたいという行政の強い意図があるのです。管理不全の状態で早めに対処することが、結果として最も厳しい措置を避けるための重要なステップとなります。

 

【第二章】空家等活用促進区域の創設

2023年の法改正で、空き家に関する制度は大きく変わりました。その中でも「管理不全空家」の新設と並んで、空き家所有者にとって重要なのが「空家等活用促進区域」という新しい仕組みです。

 

この区域は、市区町村が指定したエリア内で、空き家の積極的な活用を促すことを目的としています。これまでは使い道が限られていた空き家も、この促進区域に指定されることで、新たなビジネスチャンスや地域貢献の道が開かれる可能性があります。具体的にどのような制度なのか、その目的や規制緩和の内容、そして市街化調整区域での特例について詳しく見ていきましょう。

 

区域指定の背景と目的

空家等活用促進区域が設けられた背景には、これまでの画一的な建築規制がかえって空き家の再利用を妨げていたという実情があります。例えば、特定の地域では住居以外の用途が厳しく制限されており、古い空き家をカフェや店舗として活用したくても、建築基準法や都市計画法の壁に阻まれるケースが少なくありませんでした。

 

この制度の目的は、地域の実情や特性に合わせて、より柔軟な土地利用を可能にすることです。市区町村が区域を定めることで、そのエリア内の空き家について用途規制や接道規制を合理化し、民間事業者やNPOによる創意工夫を凝らした空き家活用を後押しすることを目指しています。これにより、地域活性化や新たな雇用の創出にもつながることが期待されています。

 

用途規制や接道規制の合理化

※専門用語が並んでしまうため、ここは飛ばしていただいても構いません

 

空家等活用促進区域内で具体的にどのような規制緩和が行われるかというと、主に「用途規制」と「接道規制」の合理化が挙げられます。用途規制の緩和とは、これまで商業施設や宿泊施設を建てられなかった地域でも、特例として空き家をリノベーションして店舗や宿泊施設として利用できるようになる可能性があります。

 

また、接道規制の合理化とは、建築基準法で定められている「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければ建物を建築できない」というルールが、区域内では柔軟に適用されるようになることを指します。例えば、既存の空き家がこの接道義務を満たしていなくても、安全性が確保できると判断されれば、改修や用途変更が可能になる場合があるのです。これにより、これまで活用が困難だった空き家も、新たな目的のために生まれ変わる道が開かれることになります。

 

市街化調整区域内での活用促進

原則として、「市街化調整区域は」都市の無秩序な拡大を防ぎ、市街化を抑制するために指定される区域であり、基本的に新たな建築物の建設はできません

 

しかし、今回の法改正により、促進区域に指定された市街化調整区域内の空き家であれば、地域資源を活用した観光交流施設や福祉施設など、一定の要件を満たす場合に限り、用途変更や改修が可能になる場合があります。これは、これまでほとんど活用が不可能だった郊外や農村部の空き家にも、新たな命を吹き込む大きなチャンスとなります。過疎化が進む地域にとっては、空き家が地域活性化の核となる可能性も秘めているのです。

 

【第三章】新制度による行政権限の強化

2023年の法改正によって、市区町村は空き家問題に対してこれまで以上に積極的に関与できるようになりました。これは空き家を所有する方にとっては、行政からの指導や介入が増える可能性があるという意味で、一定のプレッシャーとなるかもしれません。

 

一方で、管理が行き届かずに困っている所有者不明の空き家など、これまで行政だけでは手が出せなかった問題の解決を促進する側面も持っています。具体的には、「空家等管理活用支援法人」制度の創設、所有者情報の取得強化、そして「財産管理人制度」の拡充という3つのポイントが挙げられます。

 

空家等管理活用支援法人制度

今回の法改正で新たに創設されたのが、「空家等管理活用支援法人」制度です。これは、市区町村がNPO法人や一般社団法人などを支援法人として指定し、その法人が空き家所有者からの相談に応じたり、所有者に代わって空き家の管理を受託したりする公的な仕組みのことです。

 

遠方に住んでいてなかなか空き家を管理できない方や、高齢で管理が難しいと感じている方にとって、頼れる相談窓口であり、具体的な管理の選択肢が増えたことになります。この制度を通じて、所有者自身が管理の負担を軽減しながら、空き家の適切な維持管理を進めることが期待されています。

 

所有者情報の取得強化と報告徴収権

もう一つの重要な変更点は、市区町村が空き家の所有者情報をより効率的に取得できるようになったことです。これまで、行政が空き家の所有者を特定するのは容易ではなく、それによって対応が遅れるケースも多くありました。

 

しかし今回の改正により、市区町村は電気、ガスといったインフラ事業者に、空き家の所有者に関する情報提供を求めることができるようになりました。これにより、これまで所有者不明で放置されていた空き家に対しても、行政からのアプローチがスムーズに行えるようになります。さらに、所有者に対して空き家の状況に関する報告を求める「報告徴収権」も行政に付与されました。これにより、行政の指導や要請に従わない場合のプレッシャーが以前よりも強まったと言えます。

 

財産管理人制度の拡充

相続人が全員相続放棄をしてしまったり、長期間にわたって所有者が不明になってしまったりした空き家は、誰も管理や処分ができず、危険な状態のまま放置されるケースが多くありました。今回の法改正では、こうした状況に対応するため、「財産管理人制度」が拡充されました。

 

具体的には、市区町村が裁判所に対して、そうした空き家の「財産管理人」の選任を申し立てることが可能になったのです。これにより、たとえ所有者が不在であったり不明であったりしても、法的な手続きを経て、危険な空き家の解体や売却といった必要な措置を進める道が開かれました。これは、地域社会の安全確保や景観維持の観点からも、非常に重要な進展だと言えるでしょう。

 

【まとめ】空き家所有者が確認すべき重要なポイント

ここまで、2025年度から本格的に動き出す空き家に関する法改正のポイントを詳しく見てきました。新たな「管理不全空家」制度や行政の権限強化は、空き家を所有する方々にとって、もはや他人事ではない現実的な課題です。改めて、ここまでご紹介した重要なポイントをまとめておきます。気になるポイントがあれば、ぜひ読み返してみてください。

 

 

空き家の定期的な掃除・換気・修繕の必要性

草木やゴミの管理は必須

一人で対応が難しいなら専門業者や支援法人への依頼する

管理を怠り「管理不全空家」に指定されると固定資産税が数倍に

行政の空家管理権限が大きくなったことで、所有者の特定や指導が容易になっている

 

 

一般的に、空家となった不動産物件は売却されるか、賃貸等で貸し出したりするケースがあります。売却するべきか、活用するならどうするのか、まだ決まっていないけど管理も含めて相談したいという場合は、ぜひ気軽にご連絡ください

 

実際に売買の契約等やリフォーム等まで進まない限り、料金を請求することはありません。まずは、安心して気軽にご相談いただければ幸いです。

 

ちなみに、不動産会社への査定等に関する記事もありますので、売却を検討されている場合は併せてご覧いただければ幸いです。

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