滋賀の土地価格が高騰・下落した所はどこ?

4_滋賀の土地価格上昇率・下降率ランキング

 

滋賀県は、京都・大阪といった大都市圏との距離が近く、特にJR東海道本線(琵琶湖線)沿線は、新快速の存在により京阪神への通勤が可能なため、滋賀県南部は「関西圏のベッドタウン」として大きく発展してきました。

 

一方で、湖北や湖西エリアは風光明媚な観光地である反面、人口減少や高齢化が進み、土地需要は南部に比べて停滞気味です。こうした二極化は、地価動向にもはっきりと表れています。

 

本記事では、まず2015年から2025年にかけての10年間における土地価格(坪単価)の変化を振り返り、エリアごとの特徴や背景要因を掘り下げます。そのうえで、今後10年(2025〜2035年)を展望し、どの地域に上昇の可能性があり、どの地域で下落リスクが高いのかを、仮説の域を出ませんがご紹介したいと思います。

 

記事更新:2025/12/4

 

 

過去10年分、滋賀の土地価格動向(2015→2025)

過去10年で最も大きな変化を遂げたのは、皆が予想しているように滋賀県南部の主要都市です。詳しく見ていきましょう。

滋賀県の湖南のイメージ

湖南エリア(過去10年):草津市・大津市・守山市・栗東市・野洲市

草津市は+31.9%と県内トップの上昇率を記録しました。大津市も+15.5%、守山市は+17.7%、栗東市は+15.5%、野洲市は+16.3%といずれも大幅な伸びを示しています。これらの都市はいずれもJR琵琶湖線沿線に位置し、新快速で京都・大阪に直結できる利便性を背景に、住宅需要が継続的に高まりました。上昇の背景要因としては、

 

●交通利便性

草津駅や南草津駅は、京都駅まで20分、大阪駅まで50分前後という好立地にあります。京阪神の地価が高騰する中、滋賀南部は「手頃で通える居住地」として注目を集めました。守山駅や栗東駅も快速停車駅として利便性が高く、駅周辺の宅地開発が進みました。

 

●再開発と都市機能の充実

南草津駅前では大規模マンションや商業施設が相次いで建設され、街並みが大きく変わりました。

草津駅西口では再開発事業が進められ、商業・業務・住宅が一体化した都市空間が形成されつつあります。

大津市でも中心市街地の再生や湖岸の観光資源の活用が進み、居住・観光の両面で需要が拡大しました。

 

●大学・教育機関の存在

立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)、滋賀医科大学など、南部には高等教育機関が集積しています。学生需要による賃貸ニーズや、大学関係者の居住需要が土地市場を下支えしました。

 

●人口動態の強さ

滋賀県全体では人口減少が進んでいるものの、南部エリアは相対的に若年層や子育て世帯が流入しており、人口構造が安定していることが地価上昇に寄与しました。

このように、南部は交通利便性・再開発・教育資源・人口動態という複数の要因が相互に作用し、持続的な地価上昇を実現しました。

 

滋賀県の湖東(中核)エリアのイメージ

湖東エリア(過去10年):近江八幡市・彦根市・湖南市・東近江市

続いて中核都市を見ていきます。近江八幡市は+5.96%と緩やかな上昇を記録し、東近江市も+2.04%と微増にとどまりました。一方、彦根市は-2.28%、湖南市は-4.63%と下落を示しています。特徴的な背景要因としては下記になります。

 

●産業拠点としての安定需要

近江八幡市や湖南市には工業団地や物流拠点が存在し、土地利用は安定しています。特に湖南市は高速道路ICへのアクセスが良く、物流需要は堅調です。

 

●観光都市としての制約

彦根市は国宝・彦根城を擁し観光地としての知名度が高いものの、観光需要が直接的に住宅地価の上昇に結びつくわけではありません。むしろ、城下町の景観規制や用途制限が宅地開発の自由度を低下させ、住宅需要の伸びを抑制しました。

 

●人口流出の影響

若年層は教育・就業機会を求めて京都・大阪、あるいは南部の草津・大津へ流れる傾向が強く、人口の純増が見込めませんでした。この結果、住宅需要の伸びは限定的となり、地価は横ばいまたは下落に転じました。

 

中核エリアは「働く場所」としての機能が強く、住む場所としての魅力を十分に発揮できなかったことが、南部との格差を広げる結果となっています。

 

滋賀県の湖北と湖西のイメージ

湖北・湖西エリア(過去10年):長浜市・高島市・米原市・甲良町など

滋賀県の北部や湖西地域は、この10年間で見ても直近の地価の下落が一番大きいです。長浜市は-11.0%、米原市-8.5%、高島市に至っては-21.0%と大幅な下落率を記録しました。甲良町も-20.3%と同様の傾向を示しています。下落の背景要因としては下記になります。

 

人口減少と高齢化の進行

湖北や湖西は滋賀県内でも特に人口減少が顕著です。若年層が南部や京阪神へ流出し、高齢者が多く残る構造となっています。新たに住宅需要を生み出す層が乏しいため、土地需要全体が縮小しました。

 

空き家率の高さ

農村部や古い住宅地では空き家が急増しています。とくに高島市では、琵琶湖沿いの風光明媚なエリアですら、空き家の増加が地価を押し下げています。これは「景観の良さが価格を下支えする」という期待を上回るほど、人口減少の影響が強いことを示しています。

 

交通インフラの弱さ

米原市は新幹線駅を有しますが、通勤圏としては限定的であり、新快速停車駅としても利用者数が伸び悩みました。長浜市や高島市も交通利便性はあるものの、南部と比較すれば京阪神への距離が遠く、住宅地としての魅力は弱いと評価されました。

 

地域経済の停滞

湖北や湖西は観光資源こそ豊富ですが、産業規模は小さく、安定した雇用を生み出す産業基盤が不足しています。結果として、地元にとどまる若年層が減少し、地価も縮小均衡に陥りました。

 

このように湖北・湖西エリアは、全国の地方都市と同様の課題を抱えています。豊かな自然環境や観光資源を持ちながらも、居住需要の不足が土地市場を下押しする典型的な事例となっています。

 

未来10年の展望(2025→2035)

ここからは、2025年から2035年にかけての滋賀県の土地価格動向を展望します。予測はあくまで仮説ですが、人口動態・交通インフラ計画・産業動向などを踏まえれば、おおよそのシナリオを描くことむ難しくありません。

 

湖南エリア(向こう10年):草津市・大津市・守山市・栗東市・野洲市

南部エリアは今後10年も滋賀県の成長エンジンであり続けると考えられます。予想される地価動向は+10〜+20%の緩やかな上昇です。上昇を支える要素は下記になります。

 

●再開発の進展

草津駅周辺では再開発が本格化しており、商業施設や高層住宅の建設が進んでいます。南草津駅前も大学や商業施設が集積し、引き続き発展が見込まれます。

大津市でも湖岸の観光資源を活用した都市再生プロジェクトが進行しており、居住地としての魅力が高まっています。

 

●教育・医療資源の強化

大学・研究機関・大規模病院が立地しており、人口流入を安定的に支える要因となります。子育て世帯や医療関係者の居住需要が、地価を下支えする構造は続くでしょう。

 

●京阪神の住宅コスト上昇に伴う受け皿

京都や大阪では住宅価格が高止まりしており、その代替地として滋賀南部が選ばれる傾向は強まると予想されます。

 

結果として、南部は今後も安定した上昇トレンドを描くと考えられます。ただし、上昇率は過去10年ほどの急伸ではなく、緩やかなものになる見通しです。

 

中核エリア(向こう10年):近江八幡市・彦根市・湖南市・東近江市

中核都市に関しては、横ばい〜微減(-5〜+5%)の範囲に収まると予測されます。

 

●産業基盤の強さ

近江八幡市や湖南市には引き続き物流・工業拠点が存在し、安定した土地利用が見込まれます。産業立地の需要は一定の下支え効果を持ちます。

 

●観光需要の活用可能性

特に彦根市は、彦根城の世界遺産登録が実現すれば大きな注目を集め、観光都市として再評価される可能性があります。これは土地需要に間接的なプラス効果をもたらすでしょう。

 

●人口流出の懸念

ただし、若年層が草津や大津に流出する傾向は止まりません。南部に比べると住宅需要の伸びは限定的であり、大幅な地価上昇は期待しにくいのが現実です。

 

中核エリアは「産業基盤が強いが人口動態で伸び悩む」という二面性を持ち、安定と停滞の狭間にある地域といえるでしょう。

 

湖北・湖西エリア(向こう10年):長浜市・高島市・米原市・甲良町など

湖北・湖西エリアは、今後10年間で-10〜-20%の下落リスクを抱えると予想されます。

 

●人口減少の加速

高島市では既に過疎化が進み、総人口はピーク時から減少傾向にあります。今後も若年層の流出が続き、高齢者のみが残る地域が拡大するとみられます。人口減少は住宅需要の縮小を意味し、地価の下落圧力となります。

 

●空き家問題の深刻化

湖北・湖西エリアは空き家率が高く、今後も相続や人口減少により空き家が増える見通しです。「管理不全空家」に指定される物件が増えることで、周辺の不動産価値にも悪影響を与えます。

 

●産業基盤の弱さ

地域の主要産業は観光と中小規模の製造業が中心で、雇用創出力が限定的です。雇用が安定しなければ、居住需要も増加せず、地価の上昇は難しい状況です。

 

●米原駅のポテンシャル

北陸新幹線の延伸に伴い、米原駅は今後も一定の注目を集めると考えられます。東京や北陸方面とのアクセス性が高まり、ビジネス拠点として再評価される可能性があります。ただし、それが住宅地価に直結するかどうかは不透明です。

 

●二地域居住・移住需要

コロナ禍以降、「都市と地方を行き来する生活」や「セカンドハウス需要」が注目されました。琵琶湖西岸や長浜の城下町は景観に優れており、移住ニーズが局所的に高まる可能性は残されています。

 

総じて、湖北・湖西エリアは下落リスクが高いものの、特定の駅周辺や観光資源を活かした地域は再評価される可能性があるといえるでしょう。

 

まとめ

滋賀県の土地市場は、南部を中心に上昇基調が続く一方、北部や湖西は人口減少に伴う下落圧力に直面しています。この二極化は今後も続くと考えられます。しかし、都市再開発、交通インフラの発展、観光資源の活用といった要因は、それぞれの地域にポジティブな影響を与える可能性もあります。土地購入・売却を検討する際には、「エリアの特性」「人口動態」「交通インフラ計画」を意識することが、将来の資産価値を守る上で重要です。

 

早めに手放した方がいいのか、賃貸等で運用し5年後10年後に売却する方がいいのか、条件は様々ではありますが、「過去の10年の動き」「現在の地価水準」「未来10年のシナリオ」の3つを軸に検討いただければと思います。本記事が、皆さまのお役に立てれば幸いです。

 

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